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キム・ハノ詩集 14 在日の詩
「血を売る」

朝鮮戦争の終わる頃でした
ぱたぱたとぞうりをはいて歩きました
「高田馬場」の駅から十分
それは淋しい裏路でした
「なんとか十字会社」では
「血を買います」とまた聞きに
私はそこへ行きました
まだ朝まだき六時頃
仕事あぶれた群れがいる
どこから見てもルンペン姿
その中の私も一人
ただ一匹の蟻でした
祖国(くに)の不幸を救うという
生涯の信念に
燃えてたくせに、それなのに
まことにみじめな一瞬です

十一人の飢えた家族
それしか他に手がなくて…
一瓶200ccの
自分の血を売りました
だんだん生活苦しくて
二瓶血を売りました
そのうち、医者は「駄目です」と
「血があまり薄いので
もう役に立ちません、
あなたはもう危険です」
いわれたショック我慢して
交通信号待ちました
新宿駅の曲がり角
やがて「青」に変わります
通行人が走り出し
私も一緒に走ります
しかしどうも走れません
胸の動悸が烈しくて
ゆっくりゆっくり歩きます
このまま私は倒れると
意識しながら怖くない
自動車にひかれても
それは運命なのだと
虚無に渡って行きました
広い四つ角、大通りで
クラクションが鳴り出しても
ゆっくり渡って行きました
歌を忘れたカナリヤです

3.
このようなこと
幾つも幾つもありました
癌だと言われ
入院したり手術をしたり
海や川で溺れたり
飯場で白刃に出会ったり
十回以上もありました
そのたび毎に死んだとして
当り前のことばかり
それでも何故か生きてます
七十四歳の龍の年
命をかけたわが道です
朝鮮民族の幸せに
すべて捧げる覚悟です

私は年を取ってから
やっと人生の
尊さ、深さ知りました
本当に有意義なのは
これからが本番なのだと
やっと分かるようになりました

2000年2月5日



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