キム・ハノ詩集 7 | |
「にんにくの詩」 | |
二十歳のときあるオフィスで 私は同僚のアメリカ人と話してた 「にんにくくさいよ、ミスター・キム」 そう言われて「あっそうか…」 今朝時間まに合わず 歯をみがくの忘れてた にんにくはなぜにおうんだろう? 子供の頃から朝昼夕 キムチを食べて生きてきた キムチ無ければ食欲ない ところがキムチ、味の種 にんにくたくさん入ってる だからキムチ食べたあと にんにく自然ににおっても 背に腹はかえられぬ だいいちそんなこと言うが フランス高級料理店 かたつむり食べてみな きついきついにんにくの においぷんぷんしてくるよ キムチよりもっとひどい 中華料理もにんにくで 独特な味出してるよ 食えばにんにくにおいする それでもおいしく食べている なのにちょっとにおうから 「くさい!」というのは大げさだ キムチの味も知らぬくせ よけいな世話と思ったが 人前におえばよくないさ 最近日本でにんにくが 見直されてきたみたい スーパーマーケット行ってごらん キムチの売り上げ増えている 「モランボン」のキムチなど 朝鮮料理士腕よって 精込めた味よくわかる 英語辞典見てごらん 「kimchi」ちゃんと載ってるよ それで日本の会社まで キムチつくって売っている 全国に 何千軒ある焼肉店 いつも繁盛しているが 大部分は日本客 においがしてもへっちゃらだ 日本人もにんにくを 自分でおいしく食べるから にんにく「くさい」という人の 数がめっきり減ってきた 時にある広告で においのないにんにくを 発表してるがわからんよ においがするからにんにくで においのしないにんにくは にんにくでないにんにくだ 家内そう言っていた 特殊に使用するんだろう ついでのことだがにんにくは 魚や肉の生ぐささ 逆に消してくれるんだ さらに味をスムーズに 口に合わせてくれるんだ ある日本人の家へ行き にんにく酒を飲まされた 体がポカポカするんだと…… 食べるにしても無駄がない 葉っぱや茎やとうまでが みんな料理の対象だ こんな良い香辛料 「くさい!」と言って済ませるか! にんにく健康に実に良い 昔々肺病は不治の病と言われてた 明治時代の話だが 『不如帰(ほととぎす)』という物語 一斉風靡した恋愛 武男と浪子結婚し 浪子が肺病かかり死ぬ その頃肺病流行ってた 昭和になってもそうだった 誰かが一度かかったら その家誰も寄りつかぬ それで国が調べたら 肺病日本で流行っても 朝鮮では広がらぬ おかしいと分析し やっとでた結論が 「にんにく食べているからだ」 ヨーロッパではにんにくを 軒に吊るせば息災で 疫病神払うという にんにくルーツはインドより 中国、朝鮮、日本へ 千年以上前に来た 紫式部も書いている 『源氏物語』の「帚木(ははきぎ)」で 風邪薬にまぜたとか 古代エジプト、ギリシャ、ローマ そこでも珍重されたとか 風邪にも下痢にも効きめあり 血圧下降促進剤 動脈硬化、ニコチン中毒 疲労にとても良いそうだ にんにく食べて長生きが 出来ればそれにこすことない 私はにんにく食べている おいしいから食べている 歯みがき必ず忘れずに… 一生託一にんにくよ I 生活 より |
語彙解説 |